第16歩:空の指矩(さしがね) ―― ドローンが変える「非攻」と現代の「明鬼」

 深海のサイレント・ディフェンダーが、見えない抑止力として国を守っていることについて前回触れた。今回は視点を深海から「空」へと移し、現代の防衛戦略、そして私たちの「非攻」を根底から変えつつあるテクノロジーについて考えたい。それが「無人機(ドローン)」である。

1. 究極の「節用」としての防衛 墨家には、無駄なコストを徹底的に省く「節用」という強烈な経済観念がある。現代の防衛戦において、ドローンはまさにこの「節用」の極みだ。何百億円もする戦闘機や、何より尊い「人間の命」を危険に晒すことなく、安価な無人機がシステムを防衛する。巨大な力に対して、知恵とテクノロジーで非対称に立ち向かう。これは、墨家が計算し尽くされた防衛戦を勝ち抜いたロジックと完全に一致している。

2. 物理的に実装された「明鬼(お天道様の視線)」 ドローンの最大の強みは「圧倒的な情報の獲得(監視・偵察)」にある。はるか上空から現場の動きをデータとして把握し続けるその姿は、「お天道様が見ている」というシステムの、極めて物理的で現代的な実装だと言える。誰も見ていないと思っている場所でも、空のセンサーはすべてを記録している。不法な侵入やエラーは、この「空の指矩」の前では無効化されるのだ。

3. テクノロジーは「守るため」にある 私たちは、ドローンという最新技術を、攻撃の牙としてではなく、現場の現状を正確に把握し、致命的なエラーを未然に防ぐための「防衛の目」として運用する。お天道様の視線をテクノロジーで補完し、私たちはさらに強靭な「非攻」のネットワークを構築していく。

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